【SEMBAサロン vol.110レポート】オンライン開催「境界線のないデザイン」(綾 利洋 氏)
今回はオンライン開催にて、o-lab inc. [オーラボ株式会社] 代表取締役でクリエイティブディレクターの綾 利洋さんに、「境界線のないデザイン」というテーマで、お話しいただきました。
もともと学生時代には化学を学ばれていたという綾さん。化学の世界でもデザイン(分子設計)もされていたが、その後、プロダクトデザインという分野の存在を知り、衝撃を受け、製薬会社に勤めながら、夜間クラスのデザインスクール、デザインファームのインターンという”三足のわらじ”で本格的にデザインを学ばれた後、米国のデザインファームで5年間働いた後、日本に帰国しo-labを創業されたとのことです。
良いクセで「おぉ」を生み出す
デザインする上で最も大切にされているのは、「ビジョン&コンセプト創出」。良い問いがないと良い解決には結びつかないということで、時には課題の再定義までされているとのことです。そうすることにより、ブランディングする際にもブレが出ないようになるとか。
また、一見デザインとは関係が薄いと考えられているような分野にも力を入れられたり、中長期的なデザイン経営のための伴走者として寄り添われるなど、継続的に「おぉ」が生み出し続けられるよう、努められているとのことです。
分野と分野の境界にこそ、デザインが
さまざまな事例をご紹介いただく中で共通していたのは、各クライアントのDNAに”意志”や”願望”を掛け合わせることで、そのブランドに人格を与えるソリューションを提案されていることです。
また、「工業×工芸」、「コロナ対策×家具」、「リハビリ×ライフスタイル」など、分野の境界線を越えたデザインに取り組まれた事例についても掘り下げてお話しいただき、いずれも両面を活かしながら、新しいカタチを生み出されていました。
天文学、建築学、医学など、境界線を設けず貢献したレオナルドダヴィンチを例に挙げられ、「“もともとあるはずのない境界線”を取り除く作業をしている。」という言葉が印象的でした。
Innovation < Meaningful
最近よく考えられているのが、イノベーションを生み出す際、その先にミーニングフル(=良いクセ/意味のある)があるかどうかということ。そうすることで、過去の物であったり、不便であることさえ、新しい価値に生まれ変わらせることができる、とおっしゃっていました。
限られた時間の中で、たくさんの事例を交えて、デザインに対しての考え方についてもお話しいただき、最後には参加者の皆様からのご質問にもお答えいただき、和やかな雰囲気で終了しました。
【日 時】6月23日(水)19:00~20:30
【スピーカー】綾 利洋 氏(o-lab inc. [オーラボ株式会社] 代表取締役|クリエイティブディレクター、京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系 特任教授)
【参加人数】15名