【知財セミナーレポート】プロダクトデザインと知的財産戦略。~デザインの活用と期待する効果~
去る7月27日(金)14:00~16:30に、大阪工業大学梅田キャンパス OIT梅田タワー2階 203号室にて大阪工業大学知的財産学部と(一財)大阪デザインセンター共同開催で「プロダクトデザインと知的財産戦略。」と題した知財セミナーを開催しました。
まず、同大学知的財産学部の林学部長より開会のご挨拶をいただき、大学院知的財産研究科の山田教授に「関西企業のデザインの取組みとデザイン保護の状況」についてご講演を頂戴しました。その中で、関西が関東に比べて、経営層も含めてデザインを重視する傾向があるということ、また模倣を取り締まる警察、税関、裁判所もデザインに対する認識が高いことが示されました。
続いて、「各社のデザイン活動とデザイン保護」と題し、(株)ロゴスコーポレーション(以下ロゴス)の柴田社長、(株)アシックスの齋藤部長、(有)アイ・シー・アイデザイン研究所の飯田社長に加わっていただきパネルディスカッションを実施しました。いずれも関西を代表する知財にお詳しい方々です。
まず、お一人ずつ自社の取組みについて語っていただきました。ロゴスの柴田社長からは、知的財産権が800件以上あること、特に商標権、意匠権の重要性を高く認識されているというお話をいただきました。
アシックスの齋藤部長からは、世界的ブランドゆえ海外での模倣対策に苦慮されていること、知財部門は他の部署とよくコミュニケーションをとることが重要であるというお話をいただきました。
アイ・シー・アイデザイン研究所の飯田社長からは、商品作りに関して、①知財ミックスを適用、②デザイナーと企業の契約に注意が必要と伺いました。
パネルディスカッションの山田教授の質問は、各社の模倣による困りごとで始まりました。それに対し、「日本の中小零細企業の知財に対する認識の薄さが背景にある」、「営業に問題意識を植え付けて模倣品を発見させる」、「放置しておくとブランドのハイジャックになりかねない」等の意見が出されました。
次に、商品はメーカーが作るが、権利行使をデザイナーができる契約に関する質問があり、「メーカー側は商売の都合上権利を行使しないことがある」、「賞を取ることは他人が監視してくれる効果も期待できる」「弁護士への相談でメーカーとの契約書できっちり対応できる」との回答がありました。
続いてデザインに力を入れた時の効果についての質問となり、「外部デザイナーを入れた場合の成功・失敗例」、「内部デザイナーに実施させる①侵害しないデザイン、②権利行使されにくいまたは権利を取りやすいデザイン」についてのお話がありました。また「デザイナーを初期段階から入れると知財に関するデザイナーの知恵を借りることができる」というご意見もありました。
最後に弁理士さん、弁護士さんとの付き合いについては、お三方とも自社の製品・デザイン・技術に興味を持ってもらえる人がいいという結論になりました。その後、2~3質問をいただいて閉会となりました。
今回の受講生は45名。企業の知財部の方、デザイン事務所の方、弁理士の方が中心で、もともと知財に馴染みの深い方々がほとんどでしたが、評価については「良+」が90%以上を占めたので、質の高いセミナーをご提供できたのではないかと考えております。
今年度は、大阪工業大学知的財産学部と組んで年度末頃にもう一回デザインと知的財産権に関するセミナーを実施する予定でおりますので、よろしくお願いします。
文中 敬称略
【日 時】2018年7月27日(金) 14:00~16:30
【会 場】大阪工業大学梅田キャンパス OIT梅田タワー 2階203号室
【参加人数】45名