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フランス出張レポート2015 vol.4

<コロナ・プロジェクトでつかめた上質なヨーロッパ市場の特性> 大阪デザインセンター主催で現在進行中の「コロナ・プロジェクト」。 関西圏だけでなく日本全国から、プラスチック・陶器・ファブリックメーカーからデザイナーまで多様な企業のみなさま(8社11名)にご参加いただいております。 このプロジェクトの目的は、海外向け、特に今回はヨーロッパへの販路拡大です。 海外展開を計画するにあたって、価格競争に巻き込まれたいためにも、 ・欧州の上質なユーザーとバイヤーの特性を把握すること ・流通ネットワークを構築すること この二つの課題を解決するための強力なパートナーとして、パリのセレクトショップ「メルシー」の元ブランドディレクター、ジャン・リュック・コロナ氏をキーパーソンに迎え、始動しました。 fr4-1.jpg 昨年1月のメゾン・エ・オブジェに出展した日本企業にヒアリングした際、 「3回は出展しないと市場がつかめない」や「現地のバイヤーが本気度を試している」など、 必ずしも上手くいっているとは言えない印象を受けました。 確かに、フランスでの取引は日本国内や米国内での流通とは異なるので、違いに戸惑うことは予想できます。 フランスでの取引は、日本の問屋や米国のディストリビューター(※1)レップ(※2)という仕組みが充実していません。 そのような代理店機能が無いためバイヤーが直接メーカーに発注する事が多く、そのせいもあってロットが小さくなる傾向にあり、取引をためらう一因にも繋がります。 どのメーカーも海外に販路を拡大しようとする場合、現地のライフスタイルを調べますが、「見込み顧客がどのような店で買うのか?」は、まだしも、「その店のバイヤーの特性は?」までリサーチするのは簡単ではありません。店のバックヤードを覗くようなものですからね。 バイヤーは、殆どのショップで少人数制です。大変忙しい人たちばかりなので、彼らに短時間で要点を伝える準備が必要です。また、「新しくて良い商品は欲しい」と思っているのですが、保守的な性質の方が多く、そして、無理に勧められる商品を嫌う傾向があります。 「自分で見つけた」という自負があるからのようですが、これについては消費者も同じ傾向があるようです。 フランスで素敵なグッズを買いたい場合どこへ行けばいいのでしょう。 日本でも、例えば浅草、渋谷、青山、それぞれの場所で買いたい物が違いますし、買い物に来るお客さんも違います。 意外に思うかもしれませんが、日本ではどんな地域でも見かけるようになった、心地よい生活のヒントがたくさんあるライフスタイルショップはなかなか存在しません。 では、クリエイティブなグッズやデザイン性の高い商品はどこへ行けば買えるのか? 実はデザイン性の高い商品を置いてあるコンセプトショップは、パリ市内に20店、そのほかの地方に20店舗ほどしかないのです。 パリ市内だと、マレ地区に店が多く、「SENTOU」や「FLEUX’」が有名です。 そのかわり100店ほどのギフトショップが、独自の個性をもった提案をしています。 次に、日本では主要駅前には必ずといっていいほどある百貨店。 パリの場合はどうでしょう? パリには個性の違う3店(ボン・マルシェ、プランタン、ラファイエット)あるのみ。 その他は全国で1000店舗ほどのインテリアや雑貨の小規模な店だけで、セレクトショップや専門店は驚くほど少ないのです。 今回のツアーでたくさんのショップを覗いてきましたが、商品の説明方法についても日本とはずいぶん違いがありました。日本だとどのショップでも力を入れているPOP。これも無いことが多かったです。店先でも店員はお客さんにその商品について質問をされない限り、話しかけたり説明などもしないそうです。日本とはずいぶん違いますね。 消費者は、日本人ほど情報を必要としておらず、人と同じものを持ちたいと思わない国民性なので、モノの価値を伝えるにも工夫が必要です。 人と同じものを持ちたいと思わない消費者が何を欲しているか?はとても把握しにくく、また、日本とは取引の業態も全く違うので ・注文を取り ・デリバリーをして ・新商品の説明をする ためには、どうしてもそのカテゴリーに強いディストリビューターが必要になってきます。 では、ただでさえヨーロッパに少ないディストリビューター、自社に合った人物はどこにいるの?どこで探せばいいの?疑問ですよね。 最良の人材発掘方法は、メゾン エ オブジェなどの「展示会で見つける」ことです。 展示会にはメーカー以外にもディストリビューターが出展していることもあり、 自社の商品と似ている商品構成で出展しているディストリビューターのブースに行って、アピールするのが一番の近道です。説明を必要とする商品は特に、ディストリビューターの良し悪しでで結果が大きく違ってきます。 最後にこのツアーの際にジャン・リュック・コロナ氏が何回も口にした言葉をご紹介しましょう。 「Function & Emotion」です。 日本の商品は、EUでも特にフランス人に好かれる要素がありますが、伝統や文化だけで多くのフランス人に売れるわけではありません。 フランスにおける日本ブームは、ごく限られた日本好きのフランス人が核となっているだけで、多くのバイヤーは、ほとんど日本について知らないのです。日本の様にバイヤーがブームを作り出すという事がないのですね。 フランスで必要な「機能」があり、フランス人が「共感」できる商品がブームを定番に変える必要条件と言えるようです。 今回のツアーで、ジャン・リュック・コロナ氏は参加された企業さんごとに、各企業が提案すべき店舗の選び方や展開方法、日本とは違うフランス流のアプローチ方法などをレクチャーされ、それだけでなく、適切な店舗やバイヤーまでをご紹介くださいました。 fr4-2.jpg ——————————————————————————————- ディストリビューター(※1)卸売業者または販売代理店 レップ(※2)メーカーの製品をメーカーに代わって成功報酬で販売する業者 (次回に続く。 大阪デザインセンター 大高申一) フランス出張レポート2015 Vol.1 はこちら フランス出張レポート2015 Vol.2 はこちら フランス出張レポート2015 Vol.3 はこちら
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