第23回
「デザインの領域」
新しい元号「令和」がスタートしました!
10年後、20年後って、どんな社会で、どのような価値観の時代になるのでしょうね。
AIやIoTなど技術革新の波の中、
人の心が通じるコミュニケーションの本質が改めて問われています。
デザインの関わり方も変容し、ますますその意義や役割は大きくなると思います。
2025年、当センターの目の前、夢洲で開催される万博はその実験場として、
先端のICT(情報通信技術)によって、目に見える形でさまざまなコンテンツが
たくさんの人に届けられることを思うと、なんかワクワクしてきます。
さて、ひさしぶりのコラムとなりますが、今回は「デザインの領域」についてです。
ご存知の通り、表層的なデザインの時代は終わり、成熟したマーケットの中で
デザイナーに求められるプロフェッショナルなスキルもますます深化し、高度になっています。
下記はたいへん古い資料ですが、
1980年代半ばの「デザイナーツリー」です(当センター発行物から引用)。
分野は大きくスペース・プロダクト・コミュニケーション・ファッションと、くくられています。
(さすがにホームページとかWEBといった言葉もありませんよね)
では、現在そしてこれからの時代の「デザイナーツリー」を
どのように表現できそうかと考えるのですが、これは、かなり難しいものがあります・・・。
細分化された従来の事業領域の枠組みだけでは、通用しないと思うからです。
例えば、モノだけでなくコト(事業)を生み出すデザイン、
デザイン思考によるプロジェクトマネジメント、社会課題解決のコミュニケーション開発やシステムづくり、
ロボットとの協業、グローバルな視点での地域や時間を越えたプロデュースなど・・・。
加えて、時流の中で加速して肥大化するビッグデータ時代におけるデザインのあり方も読めません。
10年程前に当センターで開催したデザインマネジメント研究会で、
講師の立命館大学経営学部の佐藤典司教授が「情報消費社会のデザインマネジメント」というお話で、
「モノの価値だけではもう成り立たない、機能は成熟し、これからは情報価値もつくらないと」と
おっしゃっていました。
まさに今、コミュニケーションデザインの分野だけでなく、スペースやプロダクトなども含めて、
全ての分野において、情報価値づくりのデザインのウエイトがかなり高くなってきていると実感しています。
そのためにも、本質や魅力を「伝えるためのデザイン」を生み出すだけに留まらず、
共感してもらえる物語や体験を通して、いかに多くのファンを増やせるかといった仕掛け、
コトを創り出すことが求められています。
さらに、すでにあるモノの意味を問い直し、新たな意味を与えることでイノベーションを生む。
あるいは、社会をデザインし直すことで、サステナビリティを推進する。
AIにはできない、領域を超えたクリエイションをけん引できるデザイナーが
これからの読めない時代を切り拓いていくのだと思います。
最後に、これからの時代の「デザイナーツリー」のイメージをざっくりと作成しました。
(職能の呼称にこだわらず、とってもシンプルにまとめたものです)
当センターにおきましても、未来思考からの事業創生を実践するためのプロジェクトを始めています。
また、登録しているデザイナーの中には新しい視点から課題解決できる力を持つデザイナーがいます。
もし企業様がデザインだけでなく、新しいプロジェクト構想などで
お困りの際には一度ご相談ください。
課題を新しい視点で切り拓く可能性をデザイナーは十分に持っていますので。