第19回
著名デザイナーとの取組みについて
さまざまな相談企業さんと長年向き合う中で、
稀に「過去に○○先生と取り組んだことがあります・・・」という声を
相談企業さんから聞くことがあります。
その声に多いのですが、”あの有名なデザイナーの先生と仕事をしたんだけれど・・・”と、
勉強にはなったが、費用対効果を踏まえると、
なかなか大きな成果に上手く結びつかなかったということをおっしゃられます。
では、この第一線で名声を勝ち取られている著名デザイナーって、
どういった方なのでしょうか?
本当にごくごく一部のデザイナーの方が対象になるのですが・・・
・大きなプロジェクトや知名度のあるすばらしい仕事の実績がある。
・メジャーなデザイン賞を受賞し、デザイン誌などでその事例や本人が取り上げられ、話題となる。
・目指す視点が高く、デザイン界でも評価され、クリエイティブ業界を引っ張る存在である。
・プロデュース能力に長けており、一流クライアントの経営者層に向けたプレゼンテーション力が高い。
・立派なデザイン思想を持たれ、作家性を備え、著書もあったりして、メディアにも登場する。
・自身のブランディングデザインも上手。
・講演会でもたくさんの人が集まり、多くの聴講者を「すごい!さすが!」と魅了させる。
・デザイン賞の審査委員をされたり、学校でも教えられたりしている(若い学生にとってもあこがれの存在?)。
・デザイン費が高い・・・
さて、依頼する企業側の思いはどうでしょうか?
・この先生なら、マチガイなし!(例えば、講演会でお話を聞いたり、掲載誌や著書を見たりして・・・)
ということで、ミスマッチの原因として考えられるのが、下記の理由です。
・企業側が完全に受け身となる。
・著名デザイナーの先生は忙しく、直接の意思疎通がやや図りづらい。
・良い意味でも悪い意味でも、デザイナーの”強いこだわり”がベースとなる。
もちろん、上手くいったケースも多々あるのだと思います。
企業側が先進的なイメージを創出することに当てはまり、展示会や業界において
独創性の高いデザインによる新しいブランドイメージで、インパクトやサプライズを与えます。
一方、顧客目線を越えた視点でのデザインによる企画提案や開発は、
ややもすれば、アーティスティックで作品的なものとなり、
ユーザー側に近い販路や売場での評価とは少し距離があるのだと思います。
誰もが口をそろえる周知のこととして、デザイナーはアーティストではありません。
建築家は自身の手掛けられたものを「作品」という言い方をされますが、
デザイナーは、企業(クライアント)に向けて取り組んだものであるならば、
たずさわった「商品」や「製品」となるのが本筋です。
また、著名デザイナーの立ち位置を下記のようなピラミッドの頂点のように考えがちですが、
決して、これはクオリティと比例している訳ではなく、実は下記の図のような立ち位置になるのだと思います。
デザインによって、あらゆる産業を支えているのは、圧倒的にその他大勢のデザイナーの方々です。
デザインのクオリティは、決して著名デザイナーだけが飛び抜けているのでなく、
十人十色の優れた数多くのプロデザイナーがさまざまな案件において、
クライアントやユーザーの声にじっくりと耳を傾けて、ニーズに応えた仕事をして活躍されています。
(メーカー内のインハウスデザイナーの方も含めまして)
当センターにもたくさんそういった実務経験の豊富なデザイナーさんが登録されており、
さまざまな企業さんの個別案件、依頼内容に合わせたデザイナーの紹介で
数多くビジネスマッチングに繋げていますので、ぜひご利用いただければと思います!