第15回
プロと学生のデザインの違い。その間にある決定的な違いとは?
前回のコラムは、『「デザインのチカラ」。デザインを導入・活用した成果事例集をご紹介します。』でした。
今回は、「プロと学生のデザインの違いについて」をお話しします。
先日、デザイナーを紹介してほしいということで、下記のようなデザイン相談が当センターにありました。
「当社は中小企業でして、高額のデザイン料は払えませんので、
センスが良く、話しやすく、デザイン料が高くない、
なるべく若手の方(デザインスクールの方でもOKです)のご紹介を希望いたします」との事。
企業がはじめてデザイナーに依頼する際に、
こういう声を聞くことは、これまでにもありました。
デザイナーと仕事をした経験がなく、出費を抑えたいということで、お気持ちがわからない訳ではありません。
そこで、私共がきちんと伝えなければならないことは、
「デザインスクールの方でもOK」「なるべく若手の方」というご希望に対して、
“経験値の浅さ=価格が安い”と金額面だけで判断するのではなく、
本当に重要なこと、それは “デザインの価値は質” だという点です。
プロと学生の違いは、
デザインしたものが売れる・売れないの責任がそこにハッキリとあり、
プロの仕事には、市場価値に反映する対価がきちんと発生するものだということです。
デザイン系大学など教育機関の産学連携事業では、
学生のスキルやキャリアアップ、また就活に繋がる利点もあって、
民間企業とのコラボによる現場体験の要素は近年濃くなっています。
デザインされたものが商品化されたりもしており、学校の知名度向上にも一役買っています。
先日も商品化されたある地場産品の食品のパッケージデザインを見る機会がありました。
正直、アイデアや表現はそれらしく出来ていましたが、
商いをプラスにする、売れてナンボのデザインには到達していないと感じました。
消費者や売場目線を配慮した企画を踏まえていないようで、
作り手目線の中で選ばれて出来上がった感じが、とても残念に思いました。
この値段では買わないだろうな~とも。
(学校の先生もディレクションに関わっていたのだとは思いますが・・・)
産学連携事業については、
例えば、若者向けの商品開発やプロモーションといった学生対象の
内容なら理解できますが、本当の仕事(デザインビジネス)は学校の教材ではありません。
そういった意味で学校側も、学生たちがこれから目指すプロのデザイン業界への
民業圧迫をしてはいけないと思いますし、
安易に若い学生達のアイデアを集めてビジネスに活かそうという企業の姿勢も
見直す必要があるかと思います。
以前に、ある大学の先生が産学連携事業の告知で、「学生デザイナーがお応えします」と説明されていました。
とんでもないです。学生はデザインを学ぶ学生であって、
デザイナーではないということを意識していただければと思いました。
デザイン価値を向上させる事業かどうか・・・
私共もデザイン振興に関わる取組みを実施していく中で、
そこを再認識して企画していかなければと思います。
次回は「失敗しないデザイン事務所の選び方。デザイン事務所を選ぶ際の5つのポイントとは?」 です。
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