DESIGN COLUMN

デザイナーとの
ビジネスマッチングって?

第11回
企業とデザイナーのマッチング、失敗しないために・・・うまくいかない理由とは?

前回は「ホームページ制作のデザイン相談について。ポイントをまとめてみました。」 についてお話しました。
今回は少し前に行われた会議のなかで交わされた質問について少しお話しします。

「企業とデザイナーとのマッチング、上手くいかない場合の理由は何ですか?」

先日、学識経験者や企業経営者といった外部の専門家を交えた当センターの会議で、こんな質問が出ました。
当センターでは、企業様より年間約130件のデザイナーを紹介してほしいというご相談を受け、
円滑にコーディネートしていますが、
受発注に至るビジネスマッチング率は約60%です。(平成27年実績)
では、残りの40%は?・・・ということについてのご質問です。

発注者である企業側と、受注者であるデザイナー側とのマッチングに向けた商談は、
どの案件も内容はまちまち。スムーズに事が運ぶこともあれば、課題にぶつかることもあります。
それでは、これまでにヒアリングしてきた経験を元に、マッチングしない主な理由とその原因をご紹介します。

①なんといってもやっぱり「費用」・・・デザイン費におけるギャップ。

デザイナーの提示した見積金額と企業側が思い描いた予算との開き。
どうしても企業側は何個売れるか分からないのに費用をそこまで掛けられないという事情があります。
全体の開発予算とデザイン費用のバランスが保てないということです。
これは企業側が、まだデザインを「企画費」(ソフト)ではなく、
「作業費」(ワーク)という感覚でとらえているので、”投資”に至っていない点が大きな課題です。

デザイナーによる企画提案はアウトプット(納品)したものが全てとはいえ、
その提案に至るまでの過程や細かな修正にはかなりの時間が費やされます。
いままで積み重ねてきた学びや経験を活かした専門的なノウハウがあってこそ。
最初から目には見えませんが、そこに至るまでのプロセスと時間を企業側に理解いただく必要があります。

②とりあえず、なんとなく、の「あいまいさ」

企業側の企画があいまいで、事業方針に沿った計画も定まらないうちに、
とりあえず話きいてもらおか、で進めてみる・・・その結果、
デザイナーも依頼内容がいまひとつ理解できず、対応もなかなか詰め切れない、
受注したけれどフォローも含めてどこまで受け入れることができるか・・・ということになり、
結果、次のステップにいかずに保留に。
この場合は、デザイン以前の、事業計画や商品戦略、販路課題などが本質的な原因です。

③この前言ってたこととちょっと話が違うような・・・「コミュニケーション」のズレ

最初良くても、だんだんとズレが・・・。
しだいに双方の考え方・取り組み方において、理解が深まっていくというよりも、
逆に距離が離れて、うまくいかなくなるってこともあります。

企業側の条件もいろいろと変わってきたりして、
前向きなキャッチボールがスムーズにいかなくなって・・・。
また、当初の企画やプロジェクトが諸事情で棚上げになったということもありますね。

では、マッチングに至らなかった場合の対応をどうしているかと言いますと、
なかなか具体的なフォローは難しいのですが、
当初から3名ほどの複数のデザイナーを紹介していますので、
違うデザイナーを新たにご紹介するケースはほとんどありません。

①の場合は、”費用を掛けずにデザインすることの限界”を企業側に直に感じてもらうしかありません。
また、デザインを導入・活用している他社との差を経営者に理解してもらうために
他社の考え方や導入事例などをセミナーや面談時に伝えています。

②の場合は大阪産業創造館の経営相談窓口をご紹介することもあります。

次回は「マッチングを成功させるための4つのポイントとは?」 について、触れたいと思います。
これから夏本番、猛暑が当分続きそうですがどうぞお体を大切に、次回のコラムを楽しみにお待ちください。

 

PAGE TOP