グッドデザイン-年間賞-
年間賞
平成18年度年間賞
 
審査講評
年間賞の選考にあたって
(財)大阪デザインセンター グッドデザイン商品選定 
審査委員長 兼 工業デザイン部門 部門長=小山格平
【京都市立芸術大学 美術学部 デザイン科 教授】

   大阪デザインセンターグッドデザイン選定は、1960年に始まり本年度で46年になる。私が、審査員として参加させていただいたのが98年度頃から、当初は審査する基準について討議される事はあったが、それまでの基準を踏襲しながら時代に対応した価値をいかに審査基準に盛り込んでいくかであった。しかし、近年この審査基準を大きく見直す時が来ているのではとのご意見をいただく。それはこれまでも話題にでている、日本産業デザイン振興会が運営している「Gマーク」との差別化という事、地域性をどう生かすのかという事等、審査委員の中で丁々発止議論を闘わせている。「Gマーク」のミニ版ならず、いかに大阪の地域性を打ち出し、選定の価値を高めること。企業のデザイン開発の励みとなり、更なる商品開発へと繋げ、企業活動が活発・活性化する一助となるようにする事である。その為、特に中小企業のデザイン提案には注目してきている。06年度は住生活部門、工業デザイン部門それぞれに部門別」の最優秀賞3点、優秀賞8点、中小企業優秀賞2点が選ばれている。以上の中から年間の最優秀賞、優秀賞、中小企業優秀賞をそして特別賞を選定した。
  年間中小企業優秀賞の山本光学株式会社「SWANS キャップゴーグル FO-X1CG」は、単純な機能であるがスイミングゴーグルとキャップを上手く組み合わせたUD商品である。中小企業優秀賞ではあるが、山本光学はデザインの開発に於いて、もはや中小企業ではないとも言える、部門別の優秀賞も「SPALDINGスポーツ用サングラスSPG」で得ている事が、その事をものがたっている。
  年間特別賞には、株式会社添島勲商店「フロア畳TATAMIST」が選ばれた。畳素材を新たに活用しようとするアイデアは、過去様々トライされているが、床素材として真正面から畳に取り組み、日本の伝統色カラー展開や廃棄段階への対応等が、考慮されている事などが評価された。
  年間優秀賞には松下電器産業株式会社「食器洗い乾燥機NP-BM1」が選ばれた。オープンドームで大開口、使いやすく、節水・節電設計で、新・子育て家電と銘打ち家族のコミュニケーションを大事にするという今日の社会背景を考慮したコンセプトも高評された。
  同じく年間優秀賞の株式会社リコー「デジタルカラー複合機用トナーRICOH imagio トナー タイプC2」は、トナー交換時におけるストレスを軽減した新しい方式を採用し、省資源と循環型商品を実現し、デザインに要求される問題解決型提案の好事例といえる。
  年間最優秀賞には、森田アルミ工業株式会社「METAPHYS falce」が選ばれた。アルミフレームをファブリックでカバーし、従来のパーティションにない雰囲気を演出し、バリエーションの展開を計り、使用者に選択の可能性を広げている。全てにきめ細かなデザイン対応がなされており商品としての完成度は、かなり高いとの評価を得た。
   今回、年間最優秀賞に中小企業が選定された事は、前述の大阪の地域特性の打ち出しと、中小の企業に対する更なるデザイン活性化へ、審査員の期待が込められたものと考える。


最優秀賞
商品名: METAPHYS falce(メタフィス ファルス)
ラウンドパーティション
フラットパーティション
パーティションテーブル
出品者: 森田アルミ工業株式会社
製造者: 森田アルミ工業株式会社
デザイン: 株式会社ハーズ実験デザイン研究所
代表取締役 村田 智明
税込価格: ラウンドパーティション
フラットパーティション
パーティションテーブル
¥73,500〜
¥60,900〜
¥136,500〜
METAPHYS falce(メタフィス ファルス)
ラウンドパーティション
フラットパーティション
パーティションテーブル
【選評】 (住・生活環境デザイン部門 審査委員 福田 民郎
           = 京都工芸繊維大学 大学院 工芸科学研究科 教授)
   この商品は通常のパーティションとは少しおもむきが違い、柔らかい雰囲気の演出に成功している。伸縮性のある布地のファブリックカバーが、従来のパーティションにはないやさしい感覚と軽快感をかもし出しており、事務所空間においては小会議やレセプション等、その空間の機能や目的に合わせて使用すると、感性価値といった面で印象的な空間を構成できることが容易に想像できる。
   構造材としてのアルミフレームは、ファブリックカバーを通して適度に存在感があり、軽快感や上質感を出すことに成功している。曲面と平面からなる8枚のサイズのバリエーションで多様な空間構成も可能である。やや危惧される点としては、誤って寄りかかったり、もたれたりしたときの安全性と火や熱、または薬品等に対する耐性の面がある。
   ファブリックカバーは、チャックによる着脱方法が採用されており、使用者が無理なく装着できるようになっている。頻度といった点ではどれくらいの需要があるかは別にしても、そのことにより、洗濯も容易で、またインテリアに変化をつける場合でも別のカラー(カバーは数色用意されている)に出来るといったことで使用者に広い選択幅を提供している。プレートやアジャスター部等のパーツのデザインも丁寧にデザインされており、洗練されていることも評価したい。
優秀賞
商品名: 食器洗い乾燥機 NP-BM1
出品者: 松下電器産業株式会社
製造者: 松下電器産業株式会社 
松下ホームアプライアンス社
家庭電化事業グループ 
ランドリービジネスユニット
デザイン: 松下電器産業株式会社 
パナソニックデザイン社
永井 宗行 杉本 美貴
税込価格: オープン価格
食器洗い乾燥機 NP-BM1
 
【選評】 (審査委員長 兼 工業デザイン部門 部門長 小山 格平
           = 京都市立芸術大学 美術学部 デザイン科 教授 )
   料理は準備・調理そして食べることで完結しそうだが、実は後片付けが大変に面倒なものである。 家庭の主婦(今や主夫?)が食事の準備・調理そして食事をしての満足感から比べれば、後片付けはとても煩わしい事だろう。この片付けの最高の味方が食器洗い乾燥機である。食洗機は、水を勢いよく噴射しながら汚れを落とし洗浄するのでイメージとして大量に電気や水を使いそうに思える。ナショナルの卓上食器洗い乾燥機は、手洗いに比べ水量で1/10電気代等で1/3近く節約しており、従来の箱状のケースに食器を詰め込むというものから、ドームトップを採用することにより大開口を実現しセットする時間をも節約した。食器等に優しい内部の処理や、キッチンスペースに合わせて効率的に設置できるように柔軟に対応したこと、操作を集中した操作パネルと表示の解り易さ等が大きな特徴である。
    日本では2005年65歳以上の高齢者が全人口の1/4を占める時代になり、高齢者には優しい操作と余裕のある時間を創る家電製品が増々必要です。カタログには新・子育て家電(おやこの1日を、ほんの少し長くします)とあり今日の社会的背景を考えると家族のコミュニケーションもとても大切なことである。そのような基本コンセプトと共に本製品の特徴が評価された。
優秀賞
商品名: デジタルカラー複合機用トナー 
RICOH imagio トナー タイプC2
出品者: 株式会社リコー
製造者: 株式会社リコー
デザイン: 株式会社リコー 総合経営企画室 
総合デザインセンター
税込価格: ¥18,000 (イエロー・マゼンタ・シアン
¥36,000 (ブラック
デジタルカラー複合機用トナー RICOH imagio トナー タイプC2
【選評】 (住・生活環境デザイン部門 審査委員 福田 民郎
           = 京都工芸繊維大学 大学院 工芸科学研究科 教授 )
 この商品は新しいトナー交換方式を採用し、省資源と循環型商品を実現している。セット部を開く、空容器の取り出し、新容器のセット、トナーの自動吸引等の一連の操作が、グラフィックデザインでの誘導も含めて、高いレベルで統一されている。
  通常、トナー交換時は、トナーの漏れや飛び散りなど衣服や交換場所に大変神経を使わなければならないが、交換操作が非常に簡単でしかも誤操作が発生しないように配慮されている点、そしてカートリッジの再利用可能な点を高く評価したい。プリンター商品全般において、カートリッジやインクの交換は使用者にとっては面倒で、機種によっては毎回マニュアルを参照する必要がある拙劣なものも市場に多くある。しかしながらこの商品は、プリントアウト操作だけではなく、プリンターに係る全体の行為という点で丁寧に配慮がされている。単なる色や形だけでなく、使用における経験価値的な視点から、優れたユーザーフレンドリーを具体化している。このような開発姿勢とデザインによる具体的な解決策の提示といった傾向は今後、ますます要求されることは間違いのないことと思われる。
  総合的な観点からも、ユニバーサルデザイン、エコロジーデザイン、インターフェイスデザインといった現在の製品デザインに要求される諸要素をバランスよく高度に解決している好例といえる。
中小企業優秀賞
商品名: SWANS キャップゴーグル FO-X1CG
出品者: 山本光学株式会社
製造者: 山本光学株式会社
デザイン: 山本光学株式会社 商品企画部 
松本 公男
税込価格: ¥3,150
SWANS キャップゴーグル FO-X1CG
【選評】 (住・生活環境デザイン部門 審査委員 牛島 志津子
           = サントリー株式会社 デザイン部 課長)
   今回中小企業優秀賞に輝いた山本光学の「キャップゴーグル」は今までのゴーグルの 改良型、たとえばワンタッチで後ろを留める構造と言った発想とは全く違った発想で簡単に装着できるゴーグルを実現している。専用キャップのサイドにゴーグルについているマジックテープで留めるという力の要らない簡単な方法で装着できるという画期的なゴーグルである。
   審査員の中にも是非に使ってみたいと言う意見も出ていた。が一方で簡単な方法だけに実際水の中でフィット感が得られるだろうかと不安も感じた。実際装着してみたところ想像以上の装着感だった。着け外しは力もいらずきつくないのにしっかり顔にフィット、水の中ではサイドをテープで留める事によってキャップ全体でフィットしている感じがして、思っている以上の着け心地だった。実際着けてみて、この製品の細部にいたるまで配慮されたデザインの完成度の高さを強く感じた。
    幅広い年齢層に広がりを見せている現代のスイミング市場。誰にとっても簡単で機能的な商品を開発する山本光学の商品開発は高く評価できると思う。
年間特別賞 (クラフトマンシップデザイン賞)
商品名: フロア畳 TATAMIST
出品者: 株式会社添島勲商店
製造者: 株式会社添島勲商店
デザイン: 株式会社添島勲商店 インテリア部
課長 石橋 直樹
税込価格: 87×87×2.1cm
45×45×2.1cm
30×30×2.1cm
¥13,650
¥5,250
¥4,200
フロア畳 TATAMIST
【選評】 (審査副委員長 兼 住・生活環境デザイン部門 部門長 園田 泰雄
           = 島屋スペースクリエイツ株式会社 プランニング部 開発事業グループ 部長 )
   「タタミ」は平安時代から敷物として使用され、現在に至るまで先人達は季節を感じながら自然の素材を上手に使いこなしてきた。最近我々の生活から「畳の文化」が消え去りつつあるように感じるのは私だけであろうか?
   この商品は伝統ある「タタミ」を改めてリビングへの再提案にチャレンジしている。 減農薬のわらといぐさを使い日本の伝統色を活用し、敷き込まずにフローリング等に簡単に置ける等、新しい生活提案をしている。織り目を小さく、厚さも21oに薄くして、縁の部分も従来の1/3にするなどコンパクトなサイズになるようデザイン・技術力を活用し、使い勝手を向上させている。
   足の裏に伝わる心地よい感触は、素朴な自然の肌合い、独特な香りで、人々をリラックスさせ、心を和ませる。日本の伝統文化を整理して生活提案をしている意欲的な商品である。 日常的な毎日の暮らしの中に具体化された環境との調和を目指して、伝統的価値観を大切に守りながら、技術の継続的な革新力の発揮に努めている“企業力”を高く評価したい。
   生活の質と両立した環境の保全、資源の有効活用等々、更なるバランスの良い市場の育成が必要と感じる。
平成17年度受賞
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