グッドデザイン-部門別賞-
部門別賞

平成15年7月期
工業
デザイン部門

 

最優秀賞
商品名: サイクロン式コードレスクリーナ ESCARGOT
ECL-ES1(L)(R)
ECL-ES2(K)
ECL-ES3(G)
出品者: 株式会社東芝
デザイン: 株式会社東芝 デザインセンター
グループ長 廣井 幹也
主務 山内 敏行
税込価格: オープン価格
サイクロン式コードレスクリーナ

【選評】 (同部門 審査委員 岡崎 寛之 = (株)三洋デザインセンター 代表取締役社長)
 コードレスクリーナー「エスカルゴ」は、1.8キロの軽量でサイクロン方式というこの商品の機能的特徴を、デザインのメッセージ性によってユーザーに語りかけている。

 近頃日本国内ではファッション性の高いデザイン家電が脚光を浴びているが、これは家電製品に限らず生活用品全般がインテリア志向になっている時代の流れの一端であるといえる。景気低迷と先行き不安感から、生活者一人ひとりは、自分の生活を見直し大切にする「自分主義」を主張し、空間にもこだわりを持つようになってきた。
  「個人主義」が発達し成熟した欧州における生活用品は、もともと建築家によってデザインされ、インテリアの中の生活道具として作られ使われてきた。輸入家電とか、ヨーロッパテイストのデザインとか言われるようになったのは、日本における家電がようやくインテリアにおける生活道具として認知されたことをあらわしている。

 東芝の「エスカルゴ」は、ヨーロッパの白物家電メーカーのブランドを使った同社シリーズ商品のひとつとして、お客様とのコミュニケーションを図ろうとの試みがなされている。
  インテリアに特にこだわる、若い人たちをターゲットとし、ファッション感覚で肩に掛けられ、掃除が楽しくなるコードレスクリーナーのデザインコンセプトは、そのフォルムとカラーに見事に表現されている。4色のカラー展開も、単に色を変えただけではなく、質感とテイストにあった形状を採用し、バリエーションにより、幅広いユーザーの志向に対応している点などが評価された。

  この「エスカルゴ」のデザイン開発に見られるような、ユーザーニーズの発掘と、きめ細かな対応、そしてデザインのオリジナル性を追及する同社デザイン部門の取り組みに敬意を表したい。

優秀賞
商品名: クリーナー SC-XW9D
出品者: 三洋電機株式会社
デザイン: 株式会社三洋デザインセンター
北条事務所 北条デザイン部
税込価格: \55,650
クリーナー SC-XW9D

【選評】 (同部門 副部門長 小山 格平 = 京都市立芸術大学 教授)
 掃除機には、大きく二つのタイプがある。一つは、毎朝家族が出かけた後、「今日も掃除するぞ!」と本格的に家中をきれいにする時の掃除機、もう一つは、食事中に子供が食べ物をこぼした時など、ちょっとした汚れを掃除するコンパクトな掃除機。この場合は、充電式でハンディなモノが多い。本機は前者の方の本格的に掃除をするモノである。

 三洋電機は、洗剤のいらない洗濯機や排気をリターンさせる掃除機など、家電の分野で常に斬新な製品の開発を行っている。特に掃除機に関して近年問題になっているのが、排気が巻き上げる微細なゴミである。その微細ゴミが、アトピーの子供やハウスダストなどに敏感な人には、大変気になるものだ。そこで、最近注目を集めているのがサイクロン方式の掃除機である。サイクロン吸塵の方式は、イギリスのダイソン社が最初に商品化した。この掃除機は日本でも80年代の半ばから販売されていたが、そのデザインのユニークさや色彩の斬新さ、又高税込価格ゆえに一般に認知されることはなかった。その後ダイソン社から、比較的低税込価格の商品が開発され、サイクロン吸塵の良さが広く認知され、日本でもこの方式の機械が各社から発売されるようになった。

 サイクロン方式の特徴は、吸塵力が落ちない、ゴミパックがいらない、排気が比較的きれいなど優れた掃除機といえる。本機の特徴は、まずトリプルサイクロンにある。これは三重のサイクロン(外サイクロン、加速サイクロン、マイナスイオンサイクロン)を採用し微細粉塵まで取ってしまうものである。ブラシにも二つの特徴があり、一つは壁に当たるとブラシの前部がガバッと開き壁際のゴミ,ホコリを吸い取る。もう一つは付属のシートをブラシに巻き付けゴミを吸い取りながらフローリングの床をピカピカに磨く優れモノなのである。排気がきれいでパワーが持続するサイクロンの特徴を生かし、更に新たな機能をプラスした商品で、従来型の掃除機の形状のなかに、サイクロン集塵のイメージを上手く取り入れた点が評価された。

優秀賞
商品名: デジタルスチルカメラ DMC-FZ1
出品者: 松下電器産業株式会社
デザイン: 松下電器産業株式会社
パナソニックデザイン社
パナソニックデザイングループ
パナソニックデザインチーム 中村 誠
税込価格: オープン価格
デジタルスチルカメラ DMC-FZ1

【選評】 (同部門 審査委員 高橋 敏郎 = ダイキン工業(株) 空調生産本部 デザイングループ グループリーダー)
 デジタルカメラは、写真の概念を従来の<アナログ印画紙>から<デジタル映像>の世界に変革させ、急速な勢いで普及してきた。今や携帯電話でさえカメラ付があたりまえになり<描写の楽しみ>が新しいライフスタイルの形成にまで昇華してきている。

 受賞したDNC-FZ1は、カメラの本質(描写性/操作性/信頼性)を追求した本格タイプのデジタルカメラである。全体デザインはソリッドをベースにシンプルにまとめ上げ、コンパクトだがしっかりとした真面目なデザインに仕上げている。特にライカ製大口径 ・ 光学12倍ズームレンズが高品質感 ・ 高精度感を引き立てデザインの大きな特徴となっており、一眼レフフィルムカメラに負けない良質で存在感のあるデザインに仕上がっている。

 カジュアルなデジタルカメラ群が多い中、本品はカメラの本質を追求し真面目で良質なデザインとして高い完成度を有した秀作である。

中小企業優秀賞
商品名: スモールホイールバイク Gaap Wind
出品者: 株式会社桑原インターナショナル
デザイン: 岡田 浩明
税込価格: \262,500
スモールホイールバイク Gaap Wind

【選評】 (同部門 審査委員 加藤 公敬 = 富士通(株) 総合デザインセンター センター長)
 私たちが日常使っている機器は、エレクトロニクス化の進展とともに、どのような構造/しくみになっていて、どのように作動するのか、実感しにくくなっている。出展された商品を審査していても、技術革新の賜物なのだろうか、魔法の小箱であることが多い。自分で触ってみて納得し、そして感動することが、この頃懐かしくさえ思える。
  このように、メカニズムがブラックボックス化した商品が幅を利かす中にあって、自転車という極めてメカニックな商品に、使い手側の原点に帰って積極的に取り組まれた活動に、大いに共感を覚えたのが今回の商品である。

 カラーバリエーションを持った象徴的な三角形のフレームと、いかにも走行と乗り心地を重視してくれているサスペンションや足回りのメカニズムとその組み合わせは、使い手側が期待するさまざまなシーンにおいて、圧倒的な存在感を感じざるを得ない。野山や街の中を動き回ったり、止まったりするなどのあらゆるドライビング性能と、それを乗り回す多くのライダーの思いを凝縮した自転車であると言える。そして、私のような一般ユーザーでも乗りこなせそうな親しみのある自転車でもある。構造とサイズ、走行性能と形態、しっかりとトータルにデザインされているという印象である。

 製品のバリエーションにおいても、ロードバイクやマウンテンバイクとの部品の共用化、20インチタイヤの採用など、ミニサイクルも含めた新しい新領域商品(クロスバイクに対抗してトリプルバイクか?)をしっかり開拓できた商品である。名称も、「街中走行ベーシックモデル=Street」、「オンロードモデル=Wind」、「スパイクタイヤ装着オフロードモデル=Spike」と、それぞれのシーンと商品性とを明確に結びつけている。まさに、ユーザーの立場に立ったフォロワーシップである。

 このように審査員が楽しめる商品を、もっともっと応募いただきたい。そして、日本のメーカの技術力とマーケティング力の懐の深さをアピールして欲しいと思っている。中小企業のチャレンジに期待する。

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