グッドデザイン-年間賞-
年間賞
平成14年度年間賞
 
審査講評
平成14年度年間賞選定にあたって
(財)大阪デザインセンター グッドデザイン商品選定
審査委員長 兼 工業デザイン部門 部門長 井上斌策
[(株)トータルデザインシステム 代表取締役]
 世界規模の政情不安定と渾沌、長引く景気不況から来る活気の低迷等14年度も新しい展開を見ぬまま、日本の産業界も閉息感からの脱出模索を続ける1年となった。
 とは言え、結果としてメーカーも市場経済優先志向から、ユーザービリティーを最優先したモノ提案にシフトしなければ、生き残っては行けない事を改めて痛感させられた1年でもあった。

 これは14年度に出品された各メーカーからの応募商品にもうかがえる。日常生活に欠かせない洗濯機や掃除機等、動力性能の向上やスタイリング以上に健康に対する配慮や、使う側の身体的負担軽減を前面に打ち出したユニバーサルデザイン。商品のみならずこれらを包むパッケージにもユーザーインターフェースを充分に考慮し、使用に際してのプロセスや不自由な人々が装着する事に対しての優しい配慮をほどこした補聴器用電池パッケージ。マニアックな高級志向から、新しい感性ライフスタイルを求める人々にも比較的リーズナブルに手に出来そうなコンパクトファッショナブルスポーツカー。リサイクル、環境問題に対しての前向きな提案を打ち出した分別ダストボックス。ロングセラーを続けるシンプルで機能的なステンレス鍋等々、住生活環境や精神的豊かさを改めて問い直す提案商品が多く出て来た事は喜ばしいことであった。

 新しい時代の扉を開く知恵としてのデザインの役割はますます重要になって来ている。
 それは従来の様な感性的満足度を満たすフォルムの美しさや、機能満載の技術指向が中心のモノ作りではなくなっている。ユーザーの立場に立って、どこまで真摯に向き合っているか。真の豊かさとは何か?をベースに置いた新しい生活創造提案を含むものでなければならない事を今回の受賞企業が語っている。
商品名: 軽自動車 ダイハツ コペン
出品者: ダイハツ工業株式会社
デザイン: ダイハツ工業株式会社 デザイン部
税込価格: \1,572,900
軽自動車 ダイハツ コペン
【選評】 (工業デザイン部門 審査委員 植松 豊行 = 松下電器産業(株) パナソニックデザイン社 社長)
 DAIHATSUコペンは、デザイナーが「つくりたいクルマ、欲しいクルマを」という夢を実現し、新しいコンセプトのクルマを提案された点を高く評価したいと思う。

 今後軽自動車は、その役割が、ますます多様化してくると思われる。その中でコペンはライトウエイトスポーツという軽自動車の新たな価値を創造した。
 世界最小電動開閉式のオープントップで、気軽にオープンエアーが楽しめ、若者から中高年にいたる幅広いユーザーに、またあまりクルマに興味を示さなかった女性たちからもオシャレな「コペンが欲しい」という興味を喚起しているようだ。
 キュートなボディフォルムは美しく面構成がなされ、各パーツごとに鉄 ・ アルミ ・ 樹脂と機能によってよく吟味され使用されている。

 またペインティングはこのランクとしては初の5層コート塗装で、美しく仕上がり「粋さ ・ 情熱」を感じさせ、多くのユーザーが愛着をもって永く乗れるロングライフデザインにつながっていくと期待される。
 生産面においてもセル生産といったこだわりがなされ、クラフトマンシップの粋をこらしたものづくりに敬意を表したい。

 DAIHATSUの「最小のボディーに、最大の夢を」という思いが、このクルマに凝縮している。
商品名: 補聴器用空気亜鉛電池
PR41 PR44 PR48 PR521 PR536
出品者: 松下電器産業株式会社
デザイン: 松下電器産業株式会社 パナソニックデザイン社
パナソニックデザイングループ
ビジュアルマーケティングチーム
姫田 典子
税込価格: PR41/PR48 \1,260
PR44/PR521/PR536 \1,575
補聴器用空気亜鉛電池
【選評】 (工業デザイン部門 副部門長 藤本 英子 = 京都市立芸術大学 助教授)
 便利になるって何だろう、大きな物であれば小さくなることで持ち運びが出来たり、バックに収納出来たり便利になっていくといえるが、もともと小さな電池のような物は、小さく便利になればなるほど扱いにくくなり、不便になっていく。

 補聴器は小さくなることで装着の違和感、不自由さが軽減されていったが、それに伴う電池交換作業が、どんどん不便になっていったようだ。陽極に空気中の酸素が触れることで起電するこの賢い電池達は、使用時に貼られたシールをはがさなければならない。この小さな世界の小さな作業を誰が便利と呼ぶだろうか。

 この扱いにくい小さな物をつかむ機能と、シールを剥がす機能を一体的に解決したのが、この新しいパッケージである。折たたみマッチの要領で細長いとってをパッケージからちぎり、先に付いた電池を補聴器の中に入れて引っ張る、同時にシールがはがれて装着終了。この小さな知恵が、大きな力を発揮しそうな予感がする。

 自分でできる事が増えるのは嬉しいものだ、余分な気を使わせず、一つの作業を確実に自分自身でやり遂げられる喜びは、たとえ電池交換という日常のささいな行為でも嬉しいことだ。

 そんな小さな喜びが自信につながって、また小さな知恵を生むかも知れない。この小さな商品に、私たちは大きな夢を見た。
商品名: ロング刃専用カッターナイフ
特専ツメ付 ロング 185B
出品者: オルファ株式会社
デザイン: オルファ株式会社 商品開発部
税込価格: \525
ロング刃専用カッターナイフ特専ツメ付 ロング 185B
【選評】 (住 ・ 生活環境デザイン部門 審査委員 古川 美智子 = (有)エリプスデザイン 取締役)
 最近は何でも疑問に思ったことをインターネットで調べてみようと思う。

 OLFAという社名の由来は「折る刃」に有るというのは本当かな?と確かめてみたくなった。HPを開いてみる、確かにそうだったんだ等と思いながらクリックしていく。Gマーク商品、ロングライフ商品などずらりと並んでいる。
 私もカッターのない生活なんて考えられないというほど身近に使っている、そして切れ味が悪くなったら折って次の刃を出す。それが当たり前の事で意識することさえない。

 しかし貧乏性の私はいつも最後のところにきた時、新しい刃と取り替える前に捨てる方の刃を見つめる。ちょっと勿体ないと感じている。
 この商品を見た時、今までの商品と形のバランスが違うかな?と思った。でもまず分かりやすい爪の部分に目がいって、こういうのがちょっとあると便利なのよねと思う。

 パンフレットの説明を読む。この爪は内装作業者がカバーをはずしたり、ビスを回したりという一連の作業を効率的にするために工夫されたという事が分かった。でもこれは、オフィスでも家庭でもけっこう重宝する事だと思う。

 そしてパンフレットを裏返して最初に感じた『?』の意味が分かった。刃に工夫があったのだ。ロング刃にすることで替刃交換の回数を減らし経済性を高める事ができた。また、黒い色は焼き入れ加工で丈夫になった。世界初の超薄型。超鋭角の研摩。等々。

 OLFAは初心を忘れずに今でも挑戦し続けている企業だ。
 地球環境という大きな問題も、こんな小さなところに目を向ける事から始まるだろう。
平成15年度受賞
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