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2012.02.17

配慮する"こころ"を製品開発に生かして

国際化工株式会社 専務取締役神末 宗和氏

「お客様とデザイナーと工場を効果的にコーディネートすることが大切です」

業務用から家庭用まで、用途に合わせた品質と豊富な品揃えで業界をリードするメラミンウェアの総合メーカーの国際化工株式会社(大阪市中央区)。経営戦略におけるデザインの位置づけや、製品開発に対する新しい試みなどについて、同社・神末宗和専務取締役にお話をうかがいました。

■まずは事業内容についてお聞かせください。

当社は1949年に創業し、今年で62年になります。メラミン樹脂を中心とした、各種プラスチック成形品の企画・製造・販売を行っており、「マルケイ」と「mellina」という大きく2つのブランドに分かれています。
マルケイブランドでは、社員食堂・学校・病院や老人福祉施設・外食チェーンなどで使用される業務用食器などを取り扱っています。
一方、mellinaブランドは、百貨店や専門店などで販売される家庭用テーブルウェア・ホテルや旅館の客室やサニタリーで使用されるトレーやティッシュボックス・ごみ箱など各種備品を展開しています。
一般的に業務用食器は、耐久性や機能性を重視した製品開発を行っており、飽きがこないということを大切なキーワードとしています。一方、家庭用のテーブルウェアは、流行をとり入れた華やかさやデザイン性が求められています。従って、マルケイの商品は伝統的な絵柄など普遍的なものが中心ですが、mellinaでは、デザイン性を重視した商品群が中心です。この2つのブランドによって、家庭用テーブルウェアのデザイン性を業務用食器に応用したり、業務用食器で開発した機能性を家庭用テーブルウェアに用いるなど、相乗効果を生み出している点が当社の強みです。「技術」「品質」「デザイン」という製品開発に必要不可欠な3つの軸に注力してこそ、優れた製品が生み出せると考えています。

■デザイナーとの取り組みについて教えてください。

当社では、創業当初から、「技術」と「品質」を重視してきました。しかし、時代の変化とともに、技術や品質が均一化され、他社との差別化が困難になってきました。そこで製品開発に「デザイン」をとり入れることによって差別化を図りました。
1980年、大阪デザインセンターの紹介で、当時ミラノから大阪へ活動拠点を移していた工業デザイナーの喜多俊之氏と出会いました。当社はそれまで業務用のみを取り扱っていましたが、喜多氏の協力を得てmellinaシリーズで家庭日用品市場に参入しました。参入から現在まで、製品点数で累計20点の製品がグッドデザイン賞を受賞しました。
1996年には、1980年発売の「M154ピッチャー」の使いやすくシンプルで普遍的なデザインが高く評価され、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。
1997年には、陶芸デザイナーの榮木正敏氏(元愛知県立大学陶芸科教授)の協力を得て、業界に先駆け、「ユニバーサルデザイン」をとり入れたCommonシリーズを発表しました。以降、UD思想を製品開発の基本コンセプトとしています。

■製品開発の上で特に心掛けていることは何ですか?

当社では、基本的にはマーケットイン型の製品開発を重視しています。営業担当と顧客との商談の中で、現場から収集した製品やサービスに対するニーズは社内のシステムに蓄積されるようになっています。しかし、機能性ばかりを重視した製品では、特徴のない製品になります。反対に、デザインだけを重視した製品では使い勝手が悪くなることもあります。また、新技術や新用途の開発などのプロダクトアウト型の開発も、研究開発型の製造業としては必要と考えています。  
昨年の6月には、インテリアライフスタイル展にmellinaブランドの「MELLINA LUCE」というシリーズを出展しました。これには、PCTという新素材を使っています。PCTはアルコールに強く、薬用ソープの容器にも使用できます。こちらも生活者の声を反映させ、見た目もさることながら、機能性にもこだわっています。  
このようにお客様とデザイナーと工場をつなぐコーディネーター的な役割を心掛け、当社ならではの新しいモノづくりを創出しています。

■新しい試みについて教えてください。

昨今、社会全体の変化として、節電や地球温暖化に対応した製品が求められています。 そこで当社では、使用済みメラミン食器を回収して、再び製品化するまでのリサイクルシステムを再生業者と材料メーカーとの間で構築しました。  
これまで熱硬化性樹脂であるメラミン食器は、使用後のものを再生材料として活用することは困難でした。一般的な使用済みメラミン樹脂成形品は、塗装の剥離やタイヤなどの金型を研磨するサンドブラスト材、熱源として再生使用されるしか方法はありませんでした。  
このシステムは、社員食堂などの使用済みメラミン食器を回収・選別し、微粉砕して成形材料として再生、その成形材料を用いて再生メラミン製品を成形するというものです。このようにして誕生したのが、2009年にエコマーク認定を受けた、ホテルグッズのmonochromeシリーズです。monochromeシリーズ誕生をきっかけに、現在では業務用食器の汁椀に始まり、飯碗・丼とその適用範囲を広げています。  
食器用で再生材料を使用する場合、安全性が懸念されますが、製品の回収に万全を期すと同時に、万が一の不純物混入に備え、食器内側をバージンメラミンでコーティングし、安全性をより高めています。

■最後に今後の展望についてお聞かせください。

環境問題・高齢化・グローバル化・情報化・環境対応・安全や安心・快適性など私たちの暮らしを取り巻く環境はますます複雑化しています。当社は、こういった社会環境に目を向け、すべてに配慮する"こころ"を養い、企業活動を通じ実践していくことが使命だと考えています。  
ここ数年来、安価な海外製品の市場への流入もあり、大量生産製品の価格競争力をつけるため、2004年に、中国工場を立ち上げました。同時に、日本の製造業として生き残るため、製品と技術の開発力のさらなる強化を目的に、2007年に奈良本社内に最新設備を導入した新工場を竣工しました。そして、2008年にはISO9001認証を取得、同時に日本工業規格(新JIS)の認証も取得し、万全の品質保証体制を構築いたしました。  
これからもお客様のためはもとより地球環境まで配慮した、すべてにやさしい"こころ"の発信により、私たちがフィールドとする快適な食空間における生活者の皆様に感動と喜びを提供できる製品をつくっていきたいと思います。

国際化工株式会社 専務取締役 総合企画部ジェネラルマネージャー ISO管理責任者
神末 宗和氏
1976年10月、大阪府大阪市生まれ。2000年PwC(現日本アイ・ビー・エム株式会社)入社。2003年国際化工株式会社入社、入社後は管理、製造、企画の各部門を経て、2009年専務取締役就任。これまでのトップダウン型の経営から、組織力を武器とした総合力で勝負ができる会社へと変革することに力を注ぐ。