ケーススタディ

2010.1.30

思い入れを持つ商品開発

大光電機株式会社

■必要なときだけ存在するあかり

照明器具は夜間使うもので、昼間は部屋のインテリアとしてひっそり出番がくるのを待っています。素材感や色目をインテリアにあわせることで空間の中での存在感を抑えていますが、根本的にもっと昼間の存在感を無くし、夜間の必要なときだけ出現するような照明器具が作れないかということを考えました。
そこでまず照明器具を構成する要素を見つめなおすことから始めました。従来のペンダント照明やスタンド照明は、光源からの光でランプシェードを発光させたり、光の方向を制御することで眩しさを抑えたりして、心地の良い光の表情を生み出します。しかしランプシェードは内部の光源を覆う為サイズが大きくなり圧迫感を感じることが多く、空間の中では目立ってしまうことがあります。そこで光源を覆う役目のランプシェード自身に光源を内蔵させることで、構造をシンプルにし、ランプシェードを透過させたり、発光させたりすることで、使用状況に応じて存在感に変化と表情を持たせたランプシェードを考えました。
ランプシェードに透明の面発光板を使用することにより、消灯時にはアクリルそのままの透明感が空間に同化することで台座と支柱だけが浮立ち、点灯時にはLEDが内蔵された中央の支柱から、面発光板を透過して光のシェードが現れるようにすることで、従来のランプシェードのイメージを一新しています。普段見慣れたベーシックな器具のシルエットですが、一部が少しだけ変化することで全体として全く違った印象のものになりました。

点灯時・消灯時

■作品から商品化への道のり

ゴールドアワードを獲得

JIDA(社団法人日本インダストリアルデザイナー協会)が主催する作品展がきっかけでした。作品展のテーマは「NO LIGHT」。私たちの周りに溢れるたくさんの「あかり」の存在理由を見つめなおし、光をゼロから考え直すというものでした。作品展ということで、通常の商品開発ではなかなか出来ない試みを行うことができました。LEDチップを自分でハンダ付けして専用の基板を作ったり、製造元の工場で理想のアクリル形状にするために、何回も試作を重ね意見を出し合ったりと、時間と手間を惜しまず目標とするデザインを実現する為に試行錯誤しました。そしてようやく理想のデザインに仕上がり、作品展に出展することが出来たのです。
それだけで十分満足していたのですが、上司の目にとまり商品化することに決定しました。元々作品として考えていたので、社内の安全規定は一切考えておらず、問題点は山積みでした。会社として商品を出す訳ですので、当然私ひとりのわがままを押し通す訳にはいかず、関係者に理解してもらうために説得してまわりました。しかし幸運なことにデザインに共感し、思い入れをもって努力してくれる仲間がいてくれたおかげで、原案から形状の変更無しでクオリティの高い商品が完成しました。
自分ひとりの考えではなく、設計者や製造業者の方々に考えを理解してもらい、思い入れをもって考え行動してもらうことで想像以上の良い商品にすることができた事は、私自身本当に貴重な体験でした。

■統合力の生み出す商品

Raroua(ラローア)シリーズ ラインアップ

市場背景やターゲットをしっかり調査・分析すること、お客様の声を商品化に反映させることは商品企画部門としては当然の役割です。また一方で、社内デザイナーとして会社の中で様々な部署の人間や製造メーカーの人たちに理解してもらい、一つ一つの商品に思い入れをもって考え、行動してもらう努力も本当に重要であると思います。そういった企業内の統合力は想像以上の効果を発揮します。そのために広い視野と柔軟な発想でテーマに取り組み、そして多くのお客様に喜んでもらえる商品を創出していけるよう日々努力したいと思います。

今村 竜太
大光電機株式会社 PLCT 商品企画課
今村 竜太
2001年大光電機株式会社入社。住宅・店舗分野の照明器具デザインを中心に企画・開発に携わる。