ケーススタディ

2009.07.30

女性の「かわいい」の感性と機能性を併せ持った商品開発を目指して

シンコハンガー株式会社

■ハンガーメーカーとして

当社は、社名が表すとおり“ハンガー一筋に六十年”モノづくりを続けてきました。その間、素材は木製からプラスチックへと変化しましたが、ひたすら洋服にマッチした形くずれのしないハンガーや収納性の良いハンガーを追求してきました。しかし、ますます多様化する生活者のニーズに対応するため、平成5年「テクノパークなら五條工場」の建設を機に社名にこだわることなく、小物収納という観点でオリジナリティーあふれる商品を提供しております。そして近年、機能性を追及するとともに更にデザインに磨きをかけ、日々変化するトレンドの中でお客様の感性に響くような商品作りに取り組み始めています。

■コンセプトとデザイン

製品開発コンセプトは、独自性の高いオンリーワンの商品を作ることです。「機能」「素材」「デザイン」を三本柱とし、人間工学的にも綿密な検討を重ねていきます。特に昨今は「デザイン」に力を入れています。
デザイン性と機能を併せ持ち、“女性の「カワイイ!」の琴線に触れる商品”を目指して開発された商品の第一号、SILUE(シルエ)シリーズを例に挙げてみたいと思います。正直なところ、社内の女性社員として、ハンガーでも“かわいいから買ってしまった”という行動にでてしまうような商品を出したいという気持ちをずっと持ち続けていました。
そんな時、スカーフ用ハンガーの新製品が欲しいという仕入業者からの要望がありました。既にスカーフ用のハンガーは弊社で生産していましたが、ベーシックな形状とカラーで、機能性第一、デザインは二の次でした。しかしスカーフは重要なファッションアイテム、そして使用するのはおしゃれに気を使う女性が大半ですので、ハンガーもかわいくできれば更に需要が増えるのでは、と考え開発に踏み切ったのです。スケッチの段階ではなかなか一目見ただけでかわいい、と思えるようなデザインにならず苦労しましたが、それは頭の中の、今までのハンガーの概念を打ち破れなかったからでした。思い切って全くハンガーから離れ、自らが純粋に「かわいい!」と感じることのできる形状を、市場で探し回りました。すると、今までハンガーに利用されていなかったモチーフが、当たり前のようにざくざくと出てきました。例えば蝶だったり、薔薇だったり…。女性なら洋服の模様や持ち物の中にひとつは見つかるモチーフではないでしょうか。それらをハンガーとして機能を持たせたものがこのシリーズになります。色使いもトレンドカラーを取り入れ、女性の持ち物とマッチするよう心がけました。

■商品開発プロセス

当社の商品企画部門は、「営業部 マーケティング課」で、“営業部”に属しています。営業チームが日頃の営業活動の中から感じ取ったトレンドや強化ジャンルの方向性等の意見を積極的に取り入れ、商品開発に生かしています。開発の流れは商品によって多少異なりますが、LUETTE(ルエット)シリーズを例に挙げて記していきますと、 ①立案:市場調査やLUETTEの前身であるSILUEシリーズの実績に基づき、更に魅力あるデザイン・形状を目指しアイデアスケッチを作成します。 ②市場規模や市場の成長性などを調べ、新製品開発チェックシートに記入した資料とアイデアスケッチを用意して会議で検討します。③会議で開発が決定すると次に一般の女性に集まってもらい、アンケートで意見をいただきます。多種のデザイン案が出ているシリーズでしたので、可愛い・欲しいと思う順にランキングをつけてもらい、それを集計して人気のモチーフを絞り込んでいきます。 ④そして商品のテイストに合ったデザイナーを選定し、デザイナーと打ち合わせを密にしながら図面・モデルを起こしていきます。 ⑤図面やモデルが仕上がり、開発の方向性にズレがないか確認しつつ会議を重ね商品化に導いていきます。⑥金型〜成形に関しては、売る数・売れる数によって、金型の内容も変わってきます。売れるであろう数をマーケティング活動の中でいかにして正確に読み取るか、この部分に最も神経を使います。外注先の金型工場、社内工場の担当者、マーケティング課の3者により、金型の基本構造を検討し、決定していきます(残念ながらこの際に、多少のデザイン変更を余儀なくされるケースもありますが…)。
このようにして出来上がった金型で、社内工場の担当者が生産を行いますが、初期流動の商品と量産品との品質のギャップがないかを管理し、必要に応じて社内ミーティングを行い、改善していきます。

■デザイナーとの取組み

Larca.(ラルカ)シリーズは、デザイナー採用方法として初めての試みで、大阪産業創造館のデザイン支援プログラムに参加し、商品が完成しました。紹介された数社のデザインに対して、コンペを行い、当社から出した課題を各社に提案していただき、その中から、当社の求めるデザイン力とセンスで力になってもらえると感じた、株式会社ワイエスデザイン様とのお付き合いが始まり、その後のLUETTE(ルエット)シリーズにおいてもデザインをお任せしています。その他、お客様とグループミーティングを行って意見を得ながら企画を練ったり、さまざまな方法でデザインレベルを上げていきます。

■新しい試みで見えてきたもの

SILUEシリーズでは、今まで見たことのないハンガーですし、特に女性のバイヤーには瞬間的に高評価を得ました。大手のインテリアショップに出荷が決定し店頭に並び始めると、問い合わせが更に増えて好調に売り上げは推移しました。
デザイン重視の商品は、発売した時に高い評価であっても、必ずいつかは人気の波は去っていきます。市場に広がると見慣れていくのです。その時その時で時代の流れを汲みとっていかに新しい波を作っていけるかが自らの課題であり、これからも表情豊かなオンリーワンの商品を生み出していきたいと思います。

シンコハンガー株式会社 営業部 マーケティング課
関 明子氏
大阪市立工芸高等学校ビジュアルデザイン科卒業、成安造形短期大学イラストレーション科卒業。ラバースタンプ販売の有限会社こどものかおのスタンプアドバイザーとして、雑貨店を回り、市場の流行を知る経験を経て現在に至る。
雑貨が大好きで家の中はかわいいものでいっぱいです。
http://www.hanger-net.co.jp/